次世代配合のススメ


 まずはたとえ話から。
 ゲーム序盤の海外セリで、レイズアネイティヴ×トムフールの牝馬を見つけたとす る。
 父の因子がないので繁殖入りしても母父○は成立しないが、見た感じ Mr.Prospecter(父父)の隔世遺伝が効いているように思える。血脈活性化配合は7 本で成立しているが、活力源が取れないので、因子強調はひとつだけ。
 早熟ダートの距離適性はマイル以下だろうけど、ニジンスキーでダブルになるから 先行投資で買っておこうかな、幸いユリノも反応してないし(重要/笑)。
 そんな感じで購入し、見立て通り2歳戦厩舎が「すごそうな馬ですね」と反応。パ ワーコメントは4だったが、その他のサブパラメータは不安定で特に瞬発力は1だっ た。
 しかもダートが向いていると言われたため、デビュー戦をダート短距離に。勝利後 距離が合っていると言われ、迷わず渡米。
 やはり総合的な能力はそれほどでもなかったようで勝った負けたを繰り返していた が、なんとかアメリカの2歳牝馬GTをゲット。通算6勝を挙げて、めでたく繁殖入 りした。
 そして、いよいよ種付け。
 セオリーではダブルが成立するニジンスキー系で大物を、と行きたいところだが、 ちょっと待て。配合コメントが「なかなか良さそう」からランクアップしないよう な……たまに「すばらしい配合」が出るのだが、これで種付けしてもGT10勝クラ スはなかなか出ない気がするな……。

 さて、上記のような事態に遭遇した場合、あくまでニジンスキー系との配合にこだ わるようなことは、できることなら避けていただきたいとお話するのがこのチャプ ターでの主題である。
 ここで、上述の牝馬および周囲の状況についてまとめてみよう。

 ○ゲーム序盤
 ○組み合わせはレイズアネイティヴ×トムフール
 ○父は因子ナシで隔世遺伝成立
  父父はMr.Prospecter(スピード大/パワー/勝負根性/ダート※/早熟)
  ※PS2版はダート大(因子値2)
 ○母父に因子がなく、血脈活性化配合は7本型で成立も活力源がない
 ○サブパラメータはパワーが4で瞬発力が1と不安定
 ○通算6勝で米GTを制すも勝った負けたを繰り返す
 ○早熟のダートマイラー
 ○ダブルニックスのニジンスキー系とは
  どの種牡馬も「すばらしい」か「なかなか良さそう」のいずれか

 さきほどお話したように、このままニジンスキー系の種牡馬を配合してもGT級の 産駒は生まれるかもしれないが、GTを10勝以上するほどのレベルに達するとはや や考えにくい。
 競走馬としてだけではなく、繁殖入り後の将来性を見込んで購入したはずが、正直 あまりしっくりこない結果に終わるような気がするのだ。
 ただ、運用法如何によってはそれだけで終わらないのが、ブラッドスポーツとして の馬産の奥深さである(少なくともウイニングポストに関しては)。
 実は、上述の牝馬(正確には産駒の競走馬・繁殖牝馬としての価値)をグレード アップさせる配合が存在するのだ。
 ではまず、この牝馬の繁殖牝馬としての問題点を洗い出してみよう(生き物である お馬さんのアラを探すような感じで、あまりいい気分はしないかもしれない が……)。

 ○最高がダブルニックス → トリプルニックスの方が良い
 ○父に因子がない → 母父○がない
 ○サブパラメータが不安定
 ○早熟ダートマイラー → 成長のピークが早すぎて活躍期間が短く狭い
 ○スピードはSっぽいが正直あまりすごくはないか?

 問題点を洗い出す作業は、配合相手の系統・種牡馬を選び出す際には欠かせない。 ここで見つけた問題点をできる限りフォローする配合を見つけ出せれば、次世代での 底上げにつながるからだ。
 さてトリプルニックスにつなげるには、ダブルニックスの対象系統とニックスに なっている系統を配合すれば良い。
 上記のニジンスキー系の場合、血脈との兼ね合いからレイズアネイティヴ、トム フールをはずすと、レッドゴッド、ネヴァーベンド、ヘイルトゥリーズン(PC版で はPK限定)およびサンデーサイレンス、ネイティヴダンサー系が対象となる。ただ しネイティヴダンサー系は、レイズアネイティヴと親系統が同じなので、基本的には 除外対象となる。
 さらに、親系統ナスルーラ系のレッドゴッドとネヴァーベンド、そして親系統ロイ ヤルチャージャー系のヘイルトゥリーズンとサンデーサイレンスを比較すると、後者 のロイヤルチャージャー系はいずれもレイズアネイティヴとはニックス関係にある。
 この時点で、次世代でニジンスキー系とのトリプルニックスに持っていくには、ヘ イルトゥリーズン系かサンデーサイレンス系が適していることになる。
 続けて母父○を組み込むには、その該当種牡馬を種付けすれば良い。
 国内かつ初期状態だけで見るとヘイルトゥリーズン系ではグラスワンダー、マヤノ トップガン。サンデーサイレンス系ではサンデーサイレンス、エアシャカール(PC 版ではPKのみ)、アグネスタキオン(PS2版のみ)が該当する。
 さらに続ける。サブパラメータ特に瞬発力に関しては、母父○対象の5頭はいずれ もクリアしている。あえて言うならサンデーサイレンスとグラスワンダー、あとアグ ネスタキオンが若干有利といったところか。
 距離適性や成長型についても然りだ。ただマヤノトップガンだけは普通遅型で、早 熟化を少しでも抑えたければ選択する価値はあるだろう。
 そして肝心のスピード能力。これは言うまでもなく、サンデーサイレンスに軍配が 上がる。なんといってもSSに設定されているというし、配合コメントもワンランク 違うのは明らかだ。
 実はこの段階で、すでにサンデーサイレンスが最適ではないかという結論に達して しまう。なんのひねりもなくまことに恐縮なのだが、これはどうしても逆らえない。
 なぜか。
 サンデーサイレンスの魅力は桁違いのスピード能力にパワー以外の高水準のサブパ ラメータが代表的だ。が、真の強さを引き出す要素は彼自身の血統構成にある。
 血脈活性化配合における父系活力源は勝負根性大因子のみだが、見ての通り自身の 母系はアウトサイダーで因子がスカスカ。つまり配合相手の因子構成次第では、活力 源を母系にすることができる。
 すなわちこれが「母系の良さを引き出す」ということなのだ。上述の牝馬の場合、 父父がMr.Prospecterということは、配合時活力源母型に当たる部分にそれが来るこ とになる。
 しかも、中列4マスの親系統はバラバラだ。さらにこの中にはノーザンダンサーも ネイティヴダンサーも、かつナスルーラもない! 場合によっては8本型にもなって しまう。
 気がつくとサンデーサイレンスを賛辞するかのごとき文章になってしまったが、本 当に強い種牡馬、活用できる種牡馬とはなにかを示すガイドラインにはなるだろう。
 話を戻して、例の牝馬にサンデーサイレンスを種付けすると、シングルニックス、 血脈活性化配合母型(Mr.Prospecter)、活力補完1A、流行血統となる。
 サンデーサイレンスを種付けする以上流行によるスポイラーは正直避けられないの だが、サブパラメータの補完は父系によりある程度なされるものと思われる。あとは 牝馬が生まれて、今度こそニジンスキー系との配合に持って行ければと願う限りだ。

 このように、手持ちの繁殖牝馬に対して次世代以降の種付けを意識して配合するこ とを当サイトでは「次世代配合」と呼ぶ。
 遠大な配合計画を立てる場合、次世代配合は絶対に欠かせない。限られた配合環境 の中でいかに繁殖牝馬の優れた点を維持し、かつ能力アップを試みるのか。難しい命 題ではあるが、これもまた生産の醍醐味となるものである。


文:迷品短槍