実践編といっても、内容としては「次世代配合のススメ」で述べた通りだ。
つまり、狙っている血統とニックスになる系統を配合していく。ニジンスキー系な
らレイズアネイティヴ系、ネイティヴダンサー系、レッドゴッド系、ネヴァーベンド
系、ヘイルトゥリーズン系、サンデーサイレンス系、トムフール系の間で代重ねをし
ていき、少なくともトリプルニックス+母父○が成立した段階でニジンスキー系を配
合するのだ。
○次世代配合で重視すべきもの
次世代配合の最も大きな問題点は、能力強化の裏付け(すなわち配合理論の成立)
が基本的に乏しいことである。
相互間での多重ニックス(ノーザンテースト×マンノウォー×プリンスリーギフト
といった三者以上の系統がそれぞれニックス関係になっているもの。ニックストライ
アングルとも呼ばれる)でもない限り、配合理論の基礎ともいえるニックス配合は使
えない。
スピードをはじめとするパラメータを度外視したただの代重ねなら、先述したよう
にそう難しくはない。ただそれではメチャメチャ強い競走馬の生産は難しい、という
こともすでにお話したはずだ。
増して、お馬さんにはそれぞれ特性がある。スピードやサブパラメータ、馬場適性
や成長型など、ほとんどのお馬さんは一長一短で個性的だ。
馬場適性や成長型、さらに毛色などは好みでも問題ないと思うのだが、スピードや
サブパラメータについては高い方が良い(殿堂入り後の称号条件には一部サブパラ
メータを低めに定義しているものもあるが)。特にパワー不足で坂が苦手という深刻
な弱点を抱えている場合、それを補完・克服する配合を考えなくてはならないのだ。
ニックス以外に視点を向けるとして、真っ先に考えられるのは血脈活性化配合を中
心とする因子強調だろう。スピードやサブパラメータを示すそれぞれの因子を強調す
ることで直接的に能力アップを図ることができる。
母父○や隔世遺伝も有力な要素のひとつ。爆発力の大幅アップもやや確実性に欠け
るが重要で、少しでも多くの能力アップ要素を組み込まなければならない以上、大事
な配合理論である。
○次世代配合の将来・レベルの高い配合を目指して
こうして並べていくと簡単に活路は開けそうなのだが、ひとつ問題が生じる。
最終的な配合(シメ配合)で成立させる配合理論が、トリプルニックス+母父○+
活力補完良化(母父○成立と同時に自動成立)だけで良いのなら、前述のように進め
ていけばなんとかなるだろう。
しかし、もっと他にも配合理論を組み込めるのがWP5の奥深さだ。
トリプルニックス+母父○の他に血脈活性化配合、同型爆発(PC版ではPKの
み)、インブリード、隔世遺伝といったニックス以外の血統構成や因子を利用したも
のの他に、零細血統やお笑い/サヨナラ配合、稲妻配合や疾風配合(PC版ではPK
のみ)といった生産環境や身体的特徴まで条件に含まれるほとんど例外的な配合理論
も存在する。
実は究極の配合コメント(種付け時「これ以上ない究極の配合、超一流馬は約束さ
れたようなもの」という牧場長コメント)に達するには、こうしたニックス以外の要
素も組み込んでおかなければならないのである。
ではシメ配合をそこまでのレベルに持って行くには、なにが必要なのか。
まずは両親の能力。スピードSはもちろんのこと、海外のGTでも二桁連勝できる
実力の他に、引退後のスピードダウンがある程度抑えられることも必要だ。
トリプルニックス+母父○。血脈活性化配合によるスピード大因子の強調。隔世遺
伝。環境等を配慮せずプレイヤー個人だけでできるものは、このくらいだろう。
ただ実際にやってみればわかると思うが、トリプルニックスだけでも手間がかかる
というのに、血脈活性化配合でさらに活力源を得るとなると一気にハードルが高くな
る。
最大の理由は、なんと次世代配合に欠かせぬ要素である因子だ。
因子は非常にランダム要素が絡むものだ。かつ、ほとんどの種牡馬がなんらかの因
子を持つのと同時に、場合によっては繁殖牝馬も因子を隠し持っていたりする。つま
りゲームが進んでいくと、血統表中の因子がどんどん賑やかになっていくのである。
血脈活性化配合で活力源を得る条件は、父父父か母父父(配合時の中列縦、上から
1番目と5番目)の因子値が他の縦列よりも上回ることである。場合によってはそれ
が極端に高くなっていなければならない。
つまり、父系・母系の中に同じ割合で散りばめられた因子は、配合時にほとんどが
邪魔し合って相殺される可能性が大きいのだ。
しかも初期バージョンからPK、PS2への移植へと進んで行くにつれ、因子の持
ち易さが徐々に増している感がある。ずば抜けた因子(目安としては7以上の因子
値)でもない限り、因子強調は難しくなってくる。
シメ配合のレベルを高くするために、血脈活性化配合で活力源を得たいのならば、
その過程での因子の取り込みは極力抑えなければならないのである。特に次世代配合
の度に母父○の種牡馬を安易に選んでいたりすると、活力源を阻害する危険性が大き
くなるので、くれぐれもご注意いただきたい。
○邪魔にならない因子の取り込み方
種牡馬・繁殖牝馬ともに理想的な因子構成は、中列上つまり血脈活性化配合におけ
る活力源に当たる部分以外に、因子が全くないことである。
もちろんこれは一概には言えず、隔世遺伝を狙うのなら両親に因子がなく、それぞ
れの父に因子があった方が良いという場合もある。
ただひとつ言い切れるのは、両親の母系には因子が不要であるという点だ。
血統表内部で母系に回った因子は、インブリード以外に直接的な強調材料はない。
増して血脈活性化配合の活力源判定では、一種の阻害要素となる。あとは因子遺伝の
判定材料になる程度。
能力強化という観点で単純に考えると、母系因子は薄い方が良いことになる。
そしてこうなると、母父○の運用方法に見直しが必要になることがわかるだろう。
母父○は攻略本では配合のキーポイントとされる。確かに母の父に最低2種類の因
子があるだけで確固たる能力強化が得られるし、血脈活性化配合が不成立になっても
活力補完は良化するのだから、利用価値は高い。
しかしそれが一代経ると、母父○で活用された因子は生産馬の血統表では母系に回
る。父系の因子が弱ければ、血脈活性化配合で活力源をその父系から求めるのは厳し
くなる。
つまり母父○で一時的な能力強化はできても、取り込んでしまった因子をカバーす
るほどの高い因子値を持つ種牡馬ないし繁殖牝馬をキープできなければ、次の世代で
は因子強調ができないため足踏みないし能力ダウンをもたらす恐れがあるのだ。
このことから、血統構築の中途で母父○を活用するならば少なめ、できることなら
「スタミナ+勝負根性」もしくは「瞬発力+勝負根性」の最小単位で組み込むのが望
ましいことになる。
さて、母系に因子をできるだけ取り込まないようにするには、代重ねの過程で種付
けする種牡馬の因子値を抑えていくしかない。
もちろん因子値ゼロ、すなわち因子ナシの種牡馬は、この命題では重宝される部類
に入るといえよう。うまくいけば隔世遺伝の成立により爆発力アップだけでなく、因
子強調によるパラメータの直接アップも狙える。
隔世遺伝は最終段階でのシメの一発だけと思われがちだが、実は違う。ニックスが
使えず、因子強調に能力アップを求めざるを得ない次世代配合において、隔世遺伝は
血脈活性化配合と並んで核となる配合理論なのである。
文:迷品短槍
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