繁殖牝馬の選び方


 いまさら言うまでもないが、WP5ではゲームスタート時、繁殖牝馬は一頭もいな い。スタートイベントの一環で同地区の繁殖牝馬を購入することになるのだが、どの 地区も魅力的なラインナップとは言い難い(せいぜいサンデーサイレンスが種付けさ れているものを選んでおく程度か)。
 強い競走馬を所有する手段として、最も有用なのが自家生産であることは明らか だ。ゲームシステム上他牧場で生産された仔馬は、庭先取引解禁(5月1週)時に一 部が他馬主によって自動的に買われていく。
 このシステムの動きが曲者で、基本的に能力の高い仔馬はこの時に自己所有できな いようガードがかけられるのだ。友好度の高い馬主から譲ってもらうという手もある のだが、確実性はあまり高くないと思われる。
 海外トレーニングセールも有効な手段ではあるのだが、スピード値は高くても他の 部分、例えばサブパラメータなどに難を抱えているお馬さんが意外と多く感じる。
 のっけから脱線してしまったが、要は強い競走馬を所有したいのなら他者には頼ら ずに自分でやろう、ということを言いたいのだ。ここでは自家生産を行うにあたり最 も重要な部分である「繁殖牝馬の選定」について述べていくこととする。

 一言で「選定」と言ってしまったが、これは用途別に異なる。
 例えばゲームスタート直後は馬券稼ぎでもやらない限り、資金繰りに苦しむ場合が 多い。また名声値も低いため、種付けや調教師とのコネクションに不利が生じる状況 にある。
 つまり「限られた予算で国内GTをいくつか勝てるお馬さんの生産」が急務とな る。
 初期の二頭の競走馬、1年目の年末で外国産馬を導入すれば1000の名声値はなんと かなるかもしれないが、牧場の施設拡充や知人関連のイベントなどを起こすには、ま だまだ足りないのだ。
 一方牧場経営が安定してきて、いくつかエンディングも見た。ここらでいっちょメ チャメチャ強いお馬さんでも、とプレイヤー独自の配合設計を立てる場合でも、やは り基幹となる繁殖牝馬の設定は行わなければならない。
 これは前述のような即時性を求めるものではないのだが、血統構成と同時に因子ま でも考慮に入れなければならないため、実にやりにくい。その分自由度は大きいのだ が、ただ自由なだけではダメだということを痛感することだろう。
 従って「即戦力重視型」と「長期計画型」に分けることにしよう。

○即戦力重視型
 一言で表現するのなら、一回の種付けで結果を出すことを求めるものだ。つまりそ の時の環境において、最もベストな配合を見つけ出さなければならない。
 当然思い入れと自由度はあまり大きくないが、資金難と生産環境での不利を抱える ゲーム序盤では特に必要となる。まったりプレイもひとつのプレイスタイルではある のだが、破産してゲームオーバーになるのがイヤならば避けられないだろう。
 さて重要なのは、できる限り多くかつ有効な配合理論を組み込むことだ。
 そして問題は、どの配合理論を優先するかということ。いろいろな見方があるとは 思うが、個人的には以下を優先すべきかと考える。

 1.ダブル以上のニックス
 2.母父○
 3.血脈活性化配合の成立(活力源アリ)

 はっきり言って、これだけでもかなり対象は絞られると思われる。
 ゲームスタート時で見てみると、ヘイルトゥリーズン(サンデーサイレンス)×レ イズアネイティヴ×ニジンスキーといった形が目立つ。これで少し時間がたつとサン デーサイレンスを父に持つ牝馬が続々と繁殖入りしてくる(デフォルトも含まれ る)。
 序盤の狙い目はおそらくこのあたりだろう。つまり母系にレイズアネイティヴもし くはニジンスキーを持つサンデーサイレンス産駒の牝馬に、ニジンスキーもしくはレ イズアネイティヴ系の種牡馬を配合する形が定番か。攻略本や攻略サイトにあるよう な配合も、この形がよく見られる。
 ニックスをある程度理解しているのなら、血統表を見ればどの形が理想かを探るの は容易かもしれない。そうでなければとりあえず「父馬順→系統順」とソートをかけ て、母系を見ながらダブル以上のニックスがないかを探してみよう。
 その上で父の因子を見て、母父○が成立しているのなら中列の4マスを見るという 形で吟味していこう。
 なお血脈活性化配合の成立についてだが、できることならスピード因子の強調が最 も望ましい。ただそれが望めない場合でも、成立(配合時、中列8マスの親系統が6 種類以上)だけはキープしておくこと。
 不成立による爆発力ダウンのようなスポイラーは、絶対に含めてはならないのだ。
 この他に注目すべきは隔世遺伝か。特にゲーム序盤におけるサンデーサイレンスや Seeking the Gold(こちらは早熟ダート化注意)の因子強調は重要な能力強化源とな る。
 因子ナシの種牡馬は一線級に比べるとやや能力低めという場合が多いが、スピード 因子の強調と爆発力アップでひっくり返すことは十分可能だ。組み込める配合理論は どんどん組み込んでいくことが必要である。

○長期計画型
 血統構築をするにあたって、まずやらなければならないのは配合計画である。
 これは何代もの代重ねを経た上で、強い競走馬を生産するというコンセプトで行わ れる(はず)。例を挙げるとトリプルニックス+母父○+血脈活性化配合(8本型・ 活力源アリ)……などなど、ありとあらゆるプラス要素の配合理論を組み込んでしま うのだ。

 例を挙げると、ゲーム開始から20年も経てば斜陽化してくるサンデーサイレンス 系でメチャメチャ強いお馬さんを生産したいという場合、父系と母系の両方を生産し なければならない。
 つまり、母系はサンデーサイレンス系とニックスになる形で代重ねをしていき、父 系はニックス血統から離して生産することが必要になるのだ(最終的な血脈活性化配 合成立のため)。
 すでに察しがつくかもしれないが、この状況での個々の配合は基本的にニックスは 使えない(対象血統が多い場合は別)。母系に関してはレイズアネイティヴ×ニジン スキーのニックスが存在するのだが、残るひとつはボールドルーラー系ないしリ ファール系を運用する必要がある。
 ただ、リファールは親系統がニジンスキーと同じノーザンダンサー系なので、上記 のニックスを運用するならどこかでボールドルーラー系を取り込んでおかなければな らない。
 ニックスが使えないとなると、能力強化のメインとなるのは因子強調だ。が、ここ での各血統は影響力が強いタイプが多いため、散りばめられた因子が邪魔しあって強 調できない場合が多い。
 父系はもっとシビアだ。母系にニックスを使っているので全く使えない。やはり因 子強調など、別の配合理論を駆使する必要がある。
 代重ねの最大の障害がこの因子で、例えばとりあえずの能力強化にと母父○を運用 したら、次世代で血脈活性化配合(活力源)の邪魔になったという事例が非常に多 い。

 実は、代重ねそのものはそんなに難しくはない。特にPS2版では、種牡馬繋養施 設があれば実績のない牡馬でも種牡馬入りできてしまう(1年に一頭)。
 繁殖牝馬に関しては、仮に重賞を勝てなくても3、4勝していればとりあえず繁殖 入りはできるのだ。PC版でも牝系構築は難しくないといえる。
 ただ、こうした能力的にイマイチなお馬さんたちで細々と代重ねを続け一応の形は できたとして、いざ最終段階の配合にこぎつけても、配合コメントはおろか産駒実績 も期待したほどでは……と首を傾げる場合が多いと思われる。
 すでにお気づきとは思うが、配合時には両親のパラメータもしっかり反映されるの だ。1歳時にスピードコメントが取れなかったり、入厩後スピード感がまるでないと 言われたお馬さん同士の配合では「メチャメチャ強い競走馬」はできないのである。

 それでは話を戻そう。
 長期的な視点に立ち、代重ねの根幹となる繁殖牝馬に求められるものはなにか。

 1.高レベルのスピードおよびサブパラメータ
 2.因子強調しやすい血統構成

 最終段階の配合(シメ配合とする)でない配合ならば、先述したようにニックスは あまり使えない。有用な配合理論をあまり組み込めない実状を考えると、能力を高め るというよりはスピードを含めた高レベルのパラメータを維持することが重要とな る。
 その中でスピード強化を図るには、基本的には因子強調が中心だろう。父馬次第で は隔世遺伝も考えられるが、次世代を考えると根底段階での因子強調は足かせになり かねないので程々にすべき、といえる。

 ところでこの基準で繁殖牝馬を選ぶ際、血統構成については血統表を見れば一目瞭 然なのだが、スピードやその他サブパラメータはいわゆるマスクデータであり、自己 所有でコメント等を細かく確認しない限り基本的にはわからない(世代ごとすべての 競走馬についてコメントを取っている、というなら話は別だが……)。
 ただ実績などを細かく見ていけば、おおよそは見える。評価額はスピード能力とは 直結しないが、特に繁殖入り直後の評価額は競走成績に基づく。スピード能力が高く なければ良い競走成績はあまり得られないのだから、参考材料のひとつにはなるの だ。
 しかし、もっと確実な方法が存在する。
 ひとつは自家生産。基幹牝馬を自分で生産してから改めて代重ねしていく方法だ。
 もうひとつはセリ。特に海外セールの活用である。
 外国産馬は割高なのとサブパラメータが不安定なネックがちらつくが、同行した調 教師(ある程度の相場眼が必要)が「すばらしい馬」とコメントしてくれれば、とり あえずスピードS(動きにかなりのスピード感、とコメントされるスピードレベル) はほぼ確定的だ。もちろん閃いてくれれば、言うことはない。
 なによりゲーム序盤での繁殖牝馬探しとして、海外セリ以上の有力な場所は存在し ない。国内にはない血統も多く、零細血統への活路も繋げることができる。即戦力重 視型の配合を狙いたい場合でも、海外セリはぜひ活用していただきたい。
 スピード能力の裏付けがあれば、GT勝ちはそう難しくはない。賞金や名声も得ら れ一石二鳥だ。もともとの評価・評価額が高かったり、ユリノとムダに争ったりして よほどの高騰が起こらなければ、だいたい元は取れる。
 あとは特性の把握と、それに基づいたレース選択次第。このあたりはプレイヤー自 身の腕前にあるといえる。また購入直後の12月4週段階で「賢さ」のコメントが得 られたのなら、お笑い配合成立のために1億円超の評価額を狙うことも視野に入れて おこう。


文:迷品短槍